倉庫の管理において、温度という要素は重要なのにも関わらず、あまり注目されていません。適切な温度管理ができなければ、商品の状態を悪くしたり、出荷ができなくなることもあります。そこで今回は、商品を一定の低温のまま管理する低温倉庫についてその温度帯やメリット、相場の価格について紹介します。
目次
低温倉庫とは
低温倉庫は、実は定温倉庫とも呼ばれ、温度や湿度一定に保たれている倉庫のことです。年間を通じて一定の温度に保つことで、温度変化に弱い商品を適切に管理することができます。生鮮食品などを輸送するコールドチェーンにおいては欠かすことのできない倉庫です。農産物や水産物のように、長期間を鮮度を保つことが難しい商品の価格を安定させることに成功しているが、コスト面では通常の倉庫よりも費用がかさんでしまうというデメリットがあります。
常温倉庫、冷蔵倉庫、冷凍倉庫の温度帯
低温倉庫は一定に保つ温度帯によって、3つに分けられます。それぞれの温度帯と特徴を知ることで、効率的な倉庫管理ができるでしょう。
常温倉庫
常温倉庫は常に10℃以上に保たれている倉庫です。一般的に高すぎず、低すぎない温度である10℃~20℃の間に調整されている倉庫が多いです。倉庫業法施行規則でも10℃以下かどうかで常温か冷蔵か分かれています。
常温倉庫は、倉庫内の温度の調整があまり必要ない場合が多いため、比較的安価に使用でき、大きな収容スペースを取ることができます。また、熱には弱いが常温保管が可能な商品など多岐にわたる商品を保管することができます。
冷蔵倉庫
冷蔵倉庫とは、10℃以下の低温で商品を保管する倉庫です。倉庫の分類上は、10℃以下の倉庫はすべて冷蔵倉庫と呼称しますが、ここでは冷凍倉庫と冷蔵倉庫を区別します。というのも、冷蔵倉庫の中でも様々な温度帯があり、保管する商品の性質によって適切な種類の冷蔵倉庫に預けることが重要になるためです。冷蔵倉庫は保管可能温度差によって、以下の7つの等級に分けられます。商品を保管する冷蔵倉庫を選ぶ際はこの等級を参考にして選びましょう。
C3級 | 10℃~-2℃ |
C2級 | -2℃~-10℃ |
C1級 | -10℃~-20℃ |
F1級 | -20℃~30℃ |
F2級 | -30℃~-40℃ |
F3級 | -40℃~-50℃ |
F4級 | -50℃以下 |
一般的に「冷蔵」と区分される温度はC3~C1級の間であり、野菜や果物、乳製品などの保管に適しています。
冷凍倉庫
冷蔵倉庫の中でもより低温で保管する倉庫を冷凍倉庫と区分しています。一般的には保管温度がF級以上の倉庫を冷凍倉庫と呼びます。鮮度が重要な食品や、医薬品、化学薬品などもここに保管されます。
冷凍食品やアイスクリーム、肉や魚などを保管するのに適しています。更に低い-40℃以下の倉庫では、冷凍マグロなどの非常に低い温度で管理する必要があるものを保管することができます。ただし、気温が下がれば下がるほど管理コストは上がり、倉庫面積は狭くなるため、適切な倉庫の選択をする必要があります。
低温倉庫のメリット
廃棄ロスがなくなる
ある程度の期間保管できるため、この日に発注が入らなかったために廃棄するというような事象が起こりにくくなります。食品ロスを減らすこともできますし、同時に無駄なコストの削減にもつながります。
商品の品質の向上
鮮度を保ったまま消費者に届けることができ、常温管理の際よりも高品質な商品を提供できます。また、今まで温度管理の問題で扱えていなかったような商品を扱うことができ、販路の拡大と新規顧客の獲得につながります。
低温倉庫のデメリット
コストが高く、倉庫面積に不安がある
24時間低温に保つための温度調節にはシステムだけでなく、人件費もかかるため、低温倉庫の利用は通常の倉庫の利用に比べて大きなコストがかかります。低温に保つための倉庫の面積は小さいほど楽に管理できるため、倉庫の温度が低くなるほど、倉庫の面積は小さくなる傾向があります。そのため、多量の商品を保管するには倉庫を分けたりする必要があり、手間が余分にかかってしまいます。
作業員に負担がかかる
冷蔵倉庫などの低温の倉庫内での作業は、作業員に大きな負担をかけます。長い間冷蔵倉庫に入っていられなかったり、集中が続かないなどの問題があります。そこで最近注目されているのが、自動倉庫です。これは冷凍庫から自動的に機会が商品を取り出してくれて、人間は冷蔵庫の中に入らなくていいような倉庫です。これにより作業の効率化とピッキングのミスを減らすことができました。
低温倉庫のレンタル価格相場
低温倉庫の利用に必要な価格の相場について解説していきます。利用に必要な費用は会社や商品によって大きく変動しますが、ここでは一般的な相場を理解しておくことで、必要経費の計算が可能になり、今後の事業計画の組み立てに役立つはずです。
システム利用料
荷物の種類や個数をはじめ、保管する商品に関するデータを管理するためのシステムのための料金です。費用相場はおよそ2~5万円です。
業務管理料
これは倉庫内での商品管理全般にかかる手数料です。費用相場はおよそ1~5万円です。
保管料
商品を保管するスペースにかかる料金です。保管する場所の単位は企業ごとに異なりますが、1ラック4000~7000円ほどが相場です。
入庫料
商品の仕分けや入庫にかかる料金です。重量や形態にもよりますが、段ボール1個当たり10~30円が相場です。
デバニング料
フォークリフトによるに荷下ろしのための料金です。入庫量とは別途で支払いを求められることが多く、相場は2~3.5万円です。
検品量
入庫する商品に関する問題を事前に確認するための検品にかける費用です。費用相場は一つあたり10~30円ほどです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は低温倉庫についてメリットやデメリット、費用相場について解説しました。低温倉庫の需要は、ECサイトの人気とともに高まってきています。しかし、低温倉庫の利用には、通常の保管費用よりも高いコストが必要になります。そのため、低温倉庫の選択は立地条件やサービスの品質などから、しっかりと検討を重ねる必要があるでしょう。
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