Mコマース、Vコマース、VRコマース(バーチャルコマース)など、EC業界では、Eコマースだけにとどまらず、最新技術を駆使した新たなサービスが次々に誕生しています。
今回は、VRコマース(Vコマース・バーチャルコマース)について、Mコマースとの違いや特徴、市場規模、事例などをご紹介します。ぜひ参考にしてみてください!
目次
VRコマースとは
VRコマースとは、VRを活用して、モノやサービスなど、商品の取引を行う、オンラインショッピングの新しいかたちで、インターネット上で取引を行う、電子商取引「Eコマース」の新技術として知られています。VRコマースの他に、「Vコマース」や「バーチャルコマース」とも呼ばれます。
“Virtual Reality”の略である「VR」は、日本語では「仮想現実」と訳され、
“HMD” (Head Mounted Display)と呼ばれる専用のデバイスを用いて、映像を通して仮想空間で様々な体験をすることができます。VRは様々な業界で活用されつつあり、代表例として、エンターテイメント業界でのゲームや体験型施設が挙げられます。最近では、医療業界にて、手術のシュミレーション、製造業界にて、製造過程の検査など、その活用方法は多岐にわたります。
VRコマースも新しいVRの活用事例の一つです。これまでのオンラインショッピング、いわゆるECサイトやECモールでは、商品の閲覧方法は、写真や動画が主流でした。VRコマースでは、コンピュータによってつくられた仮想空間に、実際の店舗を設置することで、従来のリアル店舗での購買体験により近いかたちで、サービスを提供することができます。
Mコマースとの違い
VRコマースとならび、Eコマースから派生したワードとしてよく耳にするものに「Mコマース(MC)」が挙げられます。
“Mobile Commerce”の略である「Mコマース」は、スマートフォンを媒体として、商品の売買を行うことを意味します。PCやタブレット端末、スマートフォンなど、取引を行う際に使用する媒体を特定しないEコマースに比べ、Mコマースでは、モバイルに特化した、オンライン上の取引を意味します。
そのため、後者では、インターネット環境がなくても、ショッピングをはじめとした取引を行うことができます。さらに、スマートフォン上で決済までの、すべての操作が完了することから、従来のオンラインショッピングに比べ、ユーザーにとっての利便性が高まっています。
インターネットそしてスマートフォンの普及率の大幅な増加、モバイル向けECアプリの誕生、FacebookやTwitter、Instagramなど、EC事業におけるSNSの台頭などにより、近年ではEC市場においても、とくにMコマース成長は著しいといえるでしょう。
音声を活用したVコマースとは
上述の通り、VRコマースは、バーチャルコマースやVコマースなど、その表記は多岐にわたります。
Vコマースに関しては、仮想現実での取引を行うVRコマースとして使用されるケースに加え、音声を活用する”Voice Commerce“を意味する言葉として使用されることもあります。
“Voice Commerce”を意味するVコマースでは、声紋認証技術を駆使し、音声によって決済を完了させることができます。日本国内での認知度が高いとは断言できないものの、海外ではテレフォンバンキング上で実際に声紋認証が導入され、支払いや送金、残高照会など、従来に比べて、各種取引にかかるリードタイムがより短縮されています。
NRF(全米小売業協会)によれば、これまでにWeb決済からモバイル決済が主流となり、2017年ごろからは、新たな決済手段として音声によるもの(Vコマース)が登場しました。実際にアメリカでは、すでに消費者の約20%が声紋認証によって決済を行なっていることから、将来的に主要な決済手段の一つとして、さらに発展を遂げていくと想定されています。
現段階では、決済での活用が主流となっているVコマースですが、今後は商品検索や閲覧、商品の追跡など、一連の購買体験において活用される場面は、今後さらに拡大していくとされています。
VRコマースの特徴
Eコマース、Mコマース、そしてVコマース・VRコマースと、ユーザーの利便性や新しい購買体験の追求はめまぐるしく進んでいます。
最新技術が駆使されたVRコマースの特徴についてご紹介します。
①ユーザーに対してより具体的な商品イメージや、新たな購買体験を提供できる
従来のEコマースでは、ユーザーは商品画像や、商品情報、説明文など、視覚によって商品に関する情報収集を行なっています。これに対し、VRコマースでは、視覚以外の五感からも情報を得ることができます。仮想空間でのショップ店員やAIロボットによる、より丁寧な接客に加え、VRコマースであれば、聴覚や嗅覚、触覚などに訴えるアプローチも行うことができます。
さらに、家具や家電などであれば、VRを活用することで、ユーザーの実際の居住空間に商品を設置することなども可能になり、ユーザーの商品に対するイメージをより深めることができます。とりわけ、既存のインテリアや空間の広さなどとのかね合いも、商品の比較ポイントとなる家具や家電などは、ECサイトならびにリアル店舗では、設置後の雰囲気を確認することができないため、今後、とくにVRコマースの特徴が活かされる分野となっていくでしょう。
②より幅広いユーザー層にアプローチできる
より多くの感覚を使うことで、リアル店舗での購買体験に近いかたちで買い物をすることができたり、ECサイトではなかなか難しい、顧客一人一人に合わせたリアルタイムでの接客を実現したりするVRコマースでは、従来のECサイトと比較し、より幅広いユーザー層にアプローチできるという特徴もあります。
とくに、VRコマースを活用することで、EC化を進めるにあたり、しばしば課題となる高齢者や、コンピュータ・ITに関する知識が乏しいユーザーへの効果が期待されています。また、遠方のユーザーに対しても、交通費なしで、オンライン上でリアル店舗に近い購買体験を提供することが可能になります。
③精度の高い分析ができる
リアル店舗では、ユーザーが購入に至るまでの詳しい行動プロセスやパターンの分析を行うことには限界があります。一方で、ECサイトであれば、ユーザーの購入までの行動プロセスや、CV(購入)獲得に至らなかった離脱ポイントなど、より精度の高い分析を行うことができます。
VRコマースでは、Eコマースで行うことのできる、精度の高い分析を実施することができます。さらに、分析だけに限らず、カゴ落ち対策、レコメンド機能、ページへの訪問者限定のイベント実施やクーポン配信など、CVR向上を狙ったあらゆる施策を講じることもできます。
VRコマースの市場規模
世界中の統計データやマーケット予測など、あらゆる情報を収録したオンラインデータベースを提供する、ドイツを拠点とするStatista社によれば、AR/VR(拡張現実・仮想現実)の市場規模は2020年で、US$18.8billion (約1兆9,960億円) に到達し、今後もさらに伸びていくと想定されています。
さらに、経済産業省の「平成30年度 我が国におけるデータ衝動型社会に係る基盤整備 (電子商取引に関する市場調査)」によれば、5G(第5世代移動通信システム)の普及に伴い、EC業界でもライブコマースや動画コマース、VRコマースの急速な発達が予測されています。
近年、EC市場における、Mコマースの台頭や、感染症の感染拡大による消費者行動の変化など、とりわけBtoC-ECを取り巻く市場やユーザー行動においては、めまぐるしい変化が見受けられます。VRの市場規模の拡大、そしてMコマースや5Gの普及に伴い、VRコマースは今後、Eコマース市場でますます目が離せない存在になりそうです。
参照:) https://www.statista.com/statistics/591181/global-augmented-virtual-reality-market-size/
https://www.meti.go.jp/press/2019/05/20190516002/20190516002-1.pdf
VRコマースの活用事例
VRコマースの浸透がみられる海外での事例をご紹介します。
①世界最大規模のオンライン・マーケットプレイス「eBay」×オーストラリア大手百貨店 「MYER」
世界最大規模のオンライン・マーケットプレイスのeBayは、2016年にオーストラリア大手百貨店MYER社と連携し、世界初のVR百貨店「Virtual Reality Department Store」を立ち上げました。VR専用のデバイスを通して、MYER社が取り扱う商品を閲覧、選択し、eBayアプリを通して決済を完了させることができます。
特徴として、レコメンド機能の精度の高さ、商品を360°から、且つ3Dで閲覧可能な点が挙げられます。商品のデザインや質感など、従来のECサイトでは確認できなかった情報が提供されています。
②大手EC事業会社Alibabaによる「BUY+」
中国の大手EC事業会社アリババ株式会社は、2016年に中国国内でVRショッピングサービスである「BUY+」の提供を開始しました。VR専用のデバイスを装着することで、仮想世界にて実際に店舗を歩き回ったり、商品に触れたりすることができます。VRを活用することで、リアル店舗に近い購買体験を味わえる点が、最大の特徴であるといえるでしょう。
ここまで、2つの事例に簡単に触れましたが、2020年の現段階では、前者のVirtual Reality Department Storeは、eBayにてVR専用のデバイスカテゴリーの表示に変更、後者のBUY+では、リリース時の2016年以降、サービスの普及などといった顕著な成果が上がっていないのが現状です。
つまり、VRコマースのサービスの提供は開始されたものの、ショップの利用に専用デバイスを要したり、VRやサービスの認知度自体に関する課題がまだまだ残されていたりなど、現時点でVRコマースが広く浸透していると断言できないのが現状です。
実際に、日本国内においても、短期的なイベントや期間限定ショップなど、試作ベースでの導入がみられる程度です。
しかしながら、上述の通り、今後の5Gの浸透やAR/VRの市場規模拡大など、まだまだ目が話せない領域であることには変わりないでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、最新技術を駆使したVRコマースについて言及しました。認知度の低さや浸透におけるハードルの高さなど、現状としては、課題が多く残る領域となっています。しかしながら、EC業界、とくに小売業界では、消費者行動は日々移り変わり、ブランドや商品そのものではなく、購買体験により重きが置かれるようになっている近年の傾向からも、これまでにない新しい体験、そして価値を提供できるVRコマースは、今後ますます注目を浴びていくでしょう。
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