SAPとは?ERPとの違いも含めメリット・デメリットをまとめてみました

SAPとERPという言葉をよく耳にする事があります。
なんとなく意味はわかるけど説明できるほどではない、初めて勉強する事になり知る必要があるなどの方々に向けてまとめてみました。

この記事を監修した人

藤井 玲

2002年に楽天市場へ出店したことをきっかけに、EC支援サービスの提供をスタート。
累計18年、150社以上のサイト制作、運営経験を持つ。
一部上場企業のECサイトを10年間運営した経験から、運営全般、フルフィルメントの知見が豊富。
現在は、Shopify Expert Partnerとして、ECサイトの新規出店支援はもちろん、
売上改善や業務改善などのコンサルティングを手掛けている。

ERPとは

ERPとは『Enterprise Resource Planning』の略語で、『経営資源計画』を指します。
統合基幹業務システム、基幹システムという意味もあり、ERPパッケージや ERPシステムなどの言い方もあります。
このERPには企業の会計・人事・生産・物流・販売などの基幹業務を一元化することで、業務効率化や大量の情報をわかりやすくするという効果があります。
その他にもより良い社内環境作りをするために人材の適材適所を見出すこともできます。
ERPが普及する前は会社全体で1つのシステム開発を行うという事例はほとんどありませんでした。
各部門が単独のシステムを持ち、最適な業務を各部門単独で遂行するという事に尽力していました。
しかしそれでは会社全体での視点から見るとあまり効率的ではない側面があり、そのような問題を解決するべく誕生したのがERPという概念でした。

SAPとは?

一方、SAPとはヨーロッパ最大級のソフトウェア開発会社の事でERPパッケージの名称を指します。
要するにERPパッケージの一つがSAPという事になります。
SAPが行う業務はERPと同じような基幹業務の他、人事給与・経費精算・固定資産・プロジェクト管理・管理会計・顧客管理・予算管理など幅広く管理する事ができます。
また、それぞれのサポート範囲に専任のサポーター及びシステムがあるため、自社に適合する業務のみカスタムして選出することも可能です。
このように充実したサポート内容によって常時会社全体で何が起こっているかを明確に把握する事ができます。
更に、他のERPパッケージの中でもSAPは特にSAPそのものが業務プロセスとなるように形成されているためシステム内で起こっている矛盾などが起きないような仕組みになっています。
これが他のERPパッケージと大きく違う点の一つです。

SAPのメリット

なんとなくSAPとERPについておわかりいただけましたでしょうか。
では次にメリットについてご紹介いたします。

シェア率の高さに信頼ポイントアップ

SAPはとにかく全世界中で取り扱われています。
よって多言語に対応しており、越境ビジネスにも向いています。
海外を拠点とする業務も一括管理を実現でき、国際会計基準にも適応しているため、海を超えたビジネスもなんの障害を感じる事なく遂行する事ができます。
またそれだけのシェア率ゆえ、信頼性と認知度についての心配も入りません。

コスト削減を実現

SAPのメリットの中でも最も感じられるのはコスト削減という側面でしょう。
SAPの導入によって今まで各部門で管理する必要のあった業務も一括管理できるので、人件費を大幅にカットする事ができます。
また、導入後のシステム開発をする必要がないだけではなく、リアルタイムで業務管理ができるため、時間的コストの削減にも繋がります。

SAPのデメリット

メリットの反面、デメリットはどのようなものがあるのでしょうか?

導入費用が高額

メリットにコスト削減の側面を持つSAPですが、導入費用に関しては1000万円以上と非常に高額です。月額も約2万円~と固定費もかかってしまうので、自社で本当に費用対効果を生み出せるのかを要検討する必要があります。

機能の取り扱いに慣れが必要

機能が少し複雑なので、取り扱いは充分に慣れていく必要があります。
そのためSAPにはSAPでしか使えない『ABAP』という言語を使用するため独自の教育も必要となってきます。つまり『ABAP』を扱える人材に付加価値がつき、雇用費用が通常より高くなってしまう可能性があります。

SAP各モジュールについて

次にSAPの各モジュールについてまとめていきましょう。

会計モジュール

会計モジュールには財務会計・管理会計などがあります。
財務会計は売掛計上・入金処理・残高管理・債務管理・固定資産管理に関する会計処理業務について管理しています。
内部統制との正誤性を考えつつ、クライアントの会計方針に応じて最適な業務を提案し、効率化を測ります。管理会計は販売計画・生産性・購買計画などからなる原価策定方法を議論した上で最適な提案をします。販売・購買・生産・財務領域からの損益情報なども収集してくれるため、原価差額分析及び最適な提案も行ってくれます。

ロジスティックモジュール

ロジスティックモジュールでは販売管理や購買管理・在庫管理などを行っています。
販売管理は需要予想フレームワーク・内示情報・確定受注情報の取り扱いなどを議論し、最適な提案をしています。物流関連の情報を整理し、売上向上に向けて業務工程の見直しなども行っています。
購買管理は需要に基づく購買量の選定・契約条件・承認方法・仕入れ先情報管理・返品等の例外処理業務などを行っています。また、越境ビジネスにおけるお金の流れも管理しています。
最後に在庫管理に関しては、製造部門・購買部門・物流部門から発生する在庫受払別の処理・社外出荷のタイミング決定・車中在庫の管理・棚卸などを最適化するための提案を行っています。
最後にロジスティックモジュールは物流管理も行っています。出荷指示を受けた出荷部署の業務を検討し、社内倉庫の物流を最適化するという課題を持って管理方法なども含めて提案しています。
物流費用の計算は細かく考えると複雑で、計上のタイミングも含めるとなかなか管理しにくいですが、SAPのロジスティックモジュールによってそれらを全て考慮して検討し、最適な提案をしてくれます。

人事モジュール

人事モジュールでは人事管理のみを行っています。
人事の採用から退職までの流れを全て管理します。部署の移動や勤務時間なども細かく管理できるので、人件費削減には大きく貢献できます。

その他

その他モジュールには生産管理や品質管理・プロジェクト管理などがあります。
生産管理は需要に基づく生産量の決定・リードタイム、能力別の生産管理計画・オーダー、作業フローの管理などを最適化するための提案をします。クライアントの求める要件別に応じた提案も可能です。

SAPと上手に付き合っていくためには

導入費用が高額な分、慎重に付き合っていきましょう。
まず、できるだけ多くの業務要件をシステムに付加し、アドオンを控えめにする必要があります。
特定の業務や組織にだけ導入するのはもったいないので、とにかく会社内全体に影響するようにカスタムしていく事をおすすめします。
海外にも通用するので海外にも手広く拠点を構えるグループ会社などに最適です。
導入対象である会社かどうかを自社でじっくり検討しましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
SAPとERPの違いを踏まえた上で、SAPの機能や導入に対する注意点を検討し、自社に適合する形が見つけられれば導入してみてはいかがでしょうか?
上記にもありますが、グループ会社や海外に展開する企業の強い味方になってくれる事間違いなしです!

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